ランドセルの人工皮革は独自なランドセル文化のために、独自進化していったユニークな素材だと思います。
どう進化したかというと厚く、外で6年間以上使用しても劣化せず、できる限り軽く、かつ見た目もよくという特殊なニーズに合わせて進化しています。
バスケットボールやテニスのグリップ部分などのスポーツ分野やカバンなどのアパレル分野、車のシートなどの自働車分野など実は様々な人工皮革メーカーが世界各国にあるのですが、ランドセルのカブセ部分に使用できる人工皮革を作れるのは、日本のメーカーがほとんどなんですねー。中国などでも制作しているのですが、どうしても日本のメーカーにはいろいろな部分で劣ってしまいますね。。。やはり独自のニーズのために長年開発を進めた各素材メーカーが努力してきた賜物かと思います。
ランドセルの人工皮革の素材って何かご存じですか??
基本的に人工皮革とは皮革とつく通り、天然皮革に見た目や質感をよせつつも軽くしたりお手入れのしやすさなど機能的にすることを目指して開発された素材です。
結構知らないかと思うのですが、不織布にウレタンコーティングされた生地が人工皮革と呼ばれています。合成皮革は毛織物などの編物や織物をベースにして厚くウレタン層をつくったモノが多いですね。
このベースの違いが合成皮革と人工皮革の大きな違いです。
人工皮革のベースとなる不織布はその名の通り、織らない布です!
ランドセルの不織布は主にナイロン、ポリエステルなどの化学繊維で作られています。
ただ、この不織布の部分が皆さんがイメージされているものとは全く違う工程でつくられており、毛髪より細いナノファイバーが折り重なって作られており、各社実は微妙にこの工程や素材に違いがあります。
ウレタンコーティングのいわゆる銀面部分や含侵させる色の出し方にも各社技術が違っており実は奥深い素材なんですねー。
日本で初めて人工皮革を作ったのは、クラリーノ🄬で有名な株式会社クラレさんです。やはり技術力も非常に高く素晴らしい素材を提供しつづけてくれていますね!
他にランドセルに使われる人工皮革は、帝人が製造する帝人コードレ、元カネボウのFILWEL社が製造するベルバイオやアンジュエールが有名ではないでしょうか。
結構間違ったサイトが多いのですが、ベルバイオなどの人工皮革を製造しているのはカネボウではなく、元カネボウの一事業が独立買収されたのが生い立ちのFILWEL社です。
人工皮革は奥深いと書いた通り、なかなか1記事ではおさめきれないので今後それぞれの生地の特徴、シボやそもそもの不織布の作り方含めて語っていきたいと思いますのでご期待ください!
©元ランドセルメーカーのベテラン社員一人語り